慶應義塾大学SIVアントレプレナー・ラボラトリー

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SIV Relay Blog

2008年03月31日
[SIV終結記念特別寄稿7] 学びの城を承け嗣ぎて /屋代 顕 (Akira Yashiro)

  屋代 顕 (Akira Yashiro)

 
 
総合政策学部2年   KBC実行委員会 実行委員長
  【慶應ビジネスコンテスト: http://www.keio-contest.org/

2007年 7月 Global TiC Talentrepreneur Award & Forum参加
2007年 3月 Global Startup Workshop in Norway 参加
2006年10月 ACCEL REE@Stanford 参加
2006年 4月 慶應義塾大学総合政策学部入学。


 僕とSIVのファーストコンタクトは、僕がまだ高校3年生の頃です。ある方の紹介で牧さんとお会いし、たちまち意気投合。高校3年だった当事、猪突猛進 で“右も左もわからない”という事すらわかっていなかった(今も!?)僕に、SIVを見てみないか?と誘ってくださったことから始まりました。僕のSIVでの“初仕事”はSIVフォーラムで配布されたリレーブログの最初の冊子の発行準備作業だったことを考えると、こうしてSIVとしての最後の活動が執筆者としてリレーブログを書くというのは奇遇です。
 振り返ってみると、SIVは今でこそSFC-IVという荘厳な建物に部屋を構えていますが、当時は薄暗く足元が冷える苅込のオフィスが活動拠点でした。その頃から比べると、KIEP, KBC, KLICなどが次々と生まれ、SFC-IVが慶應に建つという発展は目覚ましいもので、苦難のスタートアップの時期を乗り越え、この2年間で大変な飛躍を遂げたことを実感します。
 成長とともに、場所は移り、人もまた変わります。その中で、人を媒介として残り続け、媒体とする人を育てる“精神” こそ僕がSIVで受け継いだ最大の財産です。言葉では書ききれませんが、これからも後輩へと伝えていきたいその精神を書かせていただきたいと思います。

■それでも学生を信じて

“穀物を植えるのは1年の計、木を植えるのは10年の計、人を教育するのは100年の計”

 この言葉には、国家が100年後も生き続けるためには人を育てなければいけない―という教えが込められています。これはSIVの“学生を信じ、育てる”という精神を非常に良く表しています。
 僕はREE, GSW, TiCという3つの海外での取り組みに参加する機会をいただきました。当時1年生で右も左もわからない状況で望んだ海外研修で学んだことが、3年目を迎えつつある今になり、パズルのピースが組みあがるように僕の前に次の道を切り開いてくれています。福沢先生には慶應義塾を始め暫く経った頃、中津藩に一時帰藩した際に中津の青年をスカウトし、旅費まで出して東京へ連れて来て学問を教えた―というエピソードがあります。知識も何も無い学生でも将来の可能性を信じ、機会を与えてくださる環境があったからこそSIVを通し成長することができたと思います。
 SIVでは、とにかく“学生を信じて”何でもやらせてくださいました。僕が運営に関わっている慶應ビジネスコンテストも、SIVの様々なリソースをどんどん使わせてくださいました。初めは、その恵まれた環境を理解するにも到底足らないほど周囲が見えていなかったにもかかわらず、僕自身がそれに気付くまで辛抱強くじっと待ってくださいました。物事には1度言われれば気付く事と、3度言われても然るべき時期が来るまではわからない事があります。KBCを引っ張っていく代になり、本当に教えるのが難しいのは後者であるということ、また本当に人を成長させるのは、そのようなことを“わかった”瞬間であるということを改めて認識しました。SIVではそんな学生を諦めず見守って下さるのです。

■SIV頻出単語。「志」
 SIVでの活動における頻出単語を挙げるならば、「志」という言葉でしょう。学生プロジェクトのプレゼンテーションでも、志が最も重視されます。志とは非常に抽象的な言葉ですが、SIVでの語意を言い表すならば、福沢先生の「出来難き事を好んで之を勤むるの心」という言葉ではないでしょうか。その精神をKBCでも受け継ぎ、例えビジネスプランに課題があろうとも志が確かなものであれば応援します。そして審査員の方々にも代々そのカルチャーを引き継いでいただいています。
 なぜここまで志を重視するかと言えば、志こそ物事を動かす原動力であり人を巻き込む力の源であるからでしょう。映画『October Sky』から何よりも学ぶことは、主人公ホーマーのロケットに対する迸る情熱と、成功まで決して諦めない高い志―彼のように志高く、どんな“出来難き事”にも果敢に挑戦する姿こそSIVの学生にとって最もクールな生き方で、憧れの的なのです。そして僕もホーマーに憧れる一人です。
 僕はKBCを通して“慶應から未来を先導する新事業を創出する”という挑戦をしています。世の中に向けて新たな価値を創造するということがいかに困難かは、やってみないとわかりません。しかし、そこで己の非力さに自信を喪失し諦めるのではなく、「確かな志さえあれば誰も文句は言わない」というのがSIVのカルチャーです。やってみて、そこから跳ね返ってくる難しさを全身で感じ、ワクワクし、挑戦していく事はすごく楽しい。一人では難しいことだから、仲間を募り、皆で挑戦し成長していく楽しみがある―この充実感と世の中に挑戦する自由を与えてくれたのは志を何よりも重視し、大切にする精神であったと思います。
 少し横道にそれますが、出来難き未来に挑戦する資格として、“出来得る事”を着実にこなすことのできる人間になる―読んで字の如く土台を固めることが先ず何よりも大事であるということも、SIVで学んだ大きな財産の一つです。僕もまだまだ土台作りの最中ですが、今後KIEPを通じてdesign the futureに挑む後輩達に、この事の重要性を伝えていかなければなりません。近年のSIVSGでは一時学年が飛んで先輩/後輩間の繋がりが弱くなってしまったことがありましたが、そこから先輩から学ぶことの意義を再認識することができました。KIEPでは是非、古い代から新しい代へ、脈々と受け継がれる文化と愛が栄養源となり活動の枝を大きく広げていく組織になることを期待します。そういう意味でも、まだ2年を残す僕らも“いい栄養”を後輩に託せるようにますます頑張らなきゃ。

■次世代は自分たちが担う
 過大解釈かもしれませんが、Don’t Trust Over 30には、大人たちの常識をアテにするなという意味の他に、“次の時代は僕らが担っていくんだ”というメッセージが込められているように思います。Trustは信じるという意味の他に、頼るというニュアンスも存在します。SIVではメンター三田会の方々を初め、本当に多くの先輩方が様々な知恵を授けてくれます。しかし僕らはいつまでもその知恵を頼り続けるだけではなく、その知恵から学び、知恵をより大きいものに成長させる使命を負っています。先輩から学びつつ、寄りかかるのではなく成長させていく―ジョブスの言葉とはまた違った意味を持つDon’t Trust Over 30がSIVにはあるのではないでしょうか。

■この夢は誰に宿るのか。
 塾歌の第三番に、“学びの城を承け嗣ぎて”というフレーズがあります。この城とは、慶應義塾やSFCといった形あるものではなく、150年にわたって先輩方が少しずつ築き上げてきた未来への想いの連鎖であり、後輩への絶え間ない期待と愛だと思います。僕たちはそれを全力で受け止め、自分たちの時代を築かなくてはなりません。今社会を担い、活躍する先輩方をテレビを通して垣間見ますが、あと30年もすればそこに立っているのは他の誰でもなく僕らの世代です。だからこそ、志を持って果敢に社会に挑み、自らの使命を信じて挑戦し続ける―そのSIVの精神を忘れず、また僕らの次の世代を担う後輩にもそれを引き継いでいきます。

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投稿者: siv 日時: 2008年03月31日 00:01

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